朝のリーダーという立場で仕事する日だった。
入所している人は大体80人くらいいるが、全員のお熱を測ったりするのではない。前々日のことぐらいから、要注意者をピックアップして、状態を観察していくわけである。
病院のように全検(全員測る)では時間が足りないので、一種のトリアージ能力が必要とされるわけである。この職場に来て、その感覚を掴むのに苦労を要した。(それまでは全検が基本だったわけである)
朝来てみると、ある婆さんの酸素の数字が下がっている。が、息苦しそうにしているわけではない。しかし、明らかに呼吸不全だ。オレは酸素を用意してきたが、婆さんはマスクを自分で外してしまう。マスクすると酸素の数字は回復した。受診しての原因追求は必要だと思うが、元気いっぱいであり緊急性は感じない。
下の階にある詰め所に移動させて、他のNsに様子を見るように言って、他のみなさんの計測に行く。計測を終わって詰め所に帰ると、あるベテランのオバサンがふざけたことを言ってきたので、カチンと来た
「なんだその人を見下したような態度は。こっちは本気でやってるんだ」
と大声で怒鳴りつけた。
オバサンはすぐに謝ってきたが、周りは凍りついた😅
結局この婆さんは酸素が回復せず、オレが病院に連れて行ってそのまま入院になった。
まだ人間ができていない。とは思ったが、たまには必要かもしれない、とも思った。
おわり